味覚とミラクリン

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  味覚は私たちにとって基本的な感覚であり、食べる楽しみを与えるという点から、豊かな生活を維持する上でも欠かせない感覚となっています。一方で、高齢化社会・ストレス・食生活の変化に伴う味覚の変化、味覚障害が増えてきています。味覚に関する研究を見ると、甘味・苦味・うま味・酸味レセプターの候補が見つかったのはここ数年で、まだ十分に味覚のメカニズムは解明されていません。   
 我々の研究室では霊長類において酸味を甘味に変換する味覚修飾作用を持つ、ミラクリンというタンパク質の研究を進めています。西アフリカ原産のミラクルフルーツに含まれるこのタンパク質はdimerで活性を示す糖タンパク質であることが知られていますが、ミラクリンの持つ味覚修飾作用の分子レベルでの作用機構は未だに解明されていません。 そこで我々はミラクリン味覚修飾作用のメカニズム解明を目的とし、舌の味蕾に存在する甘味受容体とmiraculinとの相互作用の検討と、これに必要となる十分量のミラクリンを得るため、機能的な組換えmiraculinの作製を試みました。