ひとりごと 3 [H20.9.17 更新]

北大植物園のオオイタドリとヤマブドウ


 札幌で開催された第22回内藤コンファレンス「ケミカルバイオロジーⅠ」に参加する機会をいただきました。非常に勉強になりました。
 帰りに北大植物園に見学に行きました。その中に「北方民族植物標本園」があり、オオイタドリ、ヤマブドウを見つけました。これらはレスベラトロールを含んでいます。
 レスベラトロールは北海道帝国大学、高岡道夫博士によって1939年にバイケイソウの根より抽出、構造決定され、名付けられた化合物です。高岡道夫博士についてインターネットで調べていくと、高岡熊雄北海道帝国大学総長(1933〜1937)のご長男であること、日本の有機化学の礎を築かれた眞島利行博士の門下生であることがわかりました。眞島利行博士の門下には大阪大学総長でアミノ酸、蛋白質化学を開拓した赤堀四郎博士、シコニンなど植物色素の研究を行った女性科学者黒田チカ博士など、有名な方々が数多くいらっしゃいます。
 一方で、今回の北大植物園は札幌農学校の教頭であったクラーク博士による進言から、先に紹介した東京大学小石川植物園に次ぐ日本で二番目に古い植物園として宮部金吾博士によって計画設計され開園したそうです(1886)。なんとなく、歴史というものの大切さを感じるとともに、「生物学は進化を考慮しなければいけない」と同じく、科学もその歴史を考えることのおもしろさを感じました。