ひとりごと 4 [H21.3.10 更新]

五嶋みどり ディオコンサート


 昨日3月9日に開催された奈良女子大学創立100周年を祝うコンサートを楽しみました。涙がでる演奏でした。久しぶりに生演奏で体験しました。このような個人的体験として、ベルリンフィルの第九、聖トーマス教会のマタイ、イスラエルフィルのマーラー、リヒテルのピアノ、スメタナ四重奏団などを思い出されましたが、本当に久しぶりです。音楽が我々の脳に与える大きな力を感じました。なぜ涙がでるのか考えてみると、技術を感じさせないレベルに達した技術による音楽の再現、同様な技量を持つピアノ(Ozgur Aydin)とのお互いを高めあうような音楽的会話、そして、それぞれの作曲家の地域的な個性を再現しながら、聴いているうちに、根本的なところで共通している「何か」を再現していることだと感じました。ただ、この「何か」は言葉してしまうと、うそっぽくなるような気がします。いずれにせよ、このような日本人演奏家が同時代に生きていることを誇りに思います。五嶋さんには、武満徹の悲歌などを世界に広めて欲しいと思います。  研究は論文として記録に残るのに対し、音楽は楽譜によってヒトの遺産として残ります。単なる練習曲と見なされていたバッハの無伴奏チェロ組曲の楽譜を、若きカザルスが見つけ、長い間練習を重ねた末に、孤高の芸術作品として演奏したことは有名な話です。今回の演奏会で、それぞれの作曲家(ベートーベン、バッハ、ドビッシー、フランク)の音楽を聴いているうちに、その音楽性の異常な高さを感じ、ヒトはこの数百年の間に根本的には何も変わっていないと感じました。これは、普通程度の演奏では感じられません。最近、愛媛大学の木村善行先生から、レスベラトロールを含んだ生薬・虎杖根は1500年前の「名医別録」に抗炎症作用などの記述があることを教えて頂きました。直接関係ないかもしれませんが、古い文献を注意深く読んでいけば、新しい研究の種がまだたくさん隠されているように思います。